幹細胞

再生医療は、皮膚や血管といった組織、心臓などの臓器の細胞を補充し、細胞レベルで失われた組織や臓器の細胞を再生させるための医療のことです。

細胞には様々な種類がありますが、その中でも特別な力をもつといわれている「幹細胞」が再生医療の現場で活躍しています。

しかし、アンチエイジングや疾患の治療など、様々な分野での活用が期待されている幹細胞培養上清液。
これがどのようなものかを知っている人は多くないでしょう。

このページでは、「幹細胞」を用いた幹細胞培養上清液がどのようなものなのか、幹細胞培養上清液が用いられるのはどのような場面なのかを、ご紹介します。

幹細胞培養上清液とは?

まず幹細胞培養上清液とはどのようなものなのでしょうか。
これは再生医療で用いられるもので、人間に体の中にある幹細胞を培養することで分泌された上澄み液のことです。

幹細胞培養上清液

幹細胞培養上清液には、幹細胞から分泌されるサイトカインという情報伝達物質が800種類以上も含まれています。

サイトカインは、体内の組織や細胞の機能を回復し、細胞の活性化を促すといわれ、それによって炎症の回復や臓器・血管などの再生、アンチエイジング効果、美容効果、毛髪再生などの効果が期待できるとされているのです。

幹細胞培養上清液に含まれている主なサイトカインには、ターンオーバーを促すEGF(上皮細胞成長因子)、ヒアルロン酸を増やすことで肌にハリを与えるIGF(インスリン様成長因子)、シワの改善に効果的なFGF(線維芽細胞成長因子)、血管の形成に役立つVEGF(血管内皮細胞成長因子)、肌の働きを正常にするKGF(角化細胞成長因子)、創傷治癒などに効果が期待されるTGF-β1・β3(トランスフォーミング増殖因子)、組織コラーゲンやエラスチンの分解を抑えるTIMP(MMP阻害因子)といったものがあります。

このようなサイトカインが含まれている幹細胞培養上清液は、美肌効果などの女性に嬉しい効果がたくさんあるということになります。

美容効果

幹細胞培養上清液が効果的な症状とは?

幹細胞培養上清液は、先ほど紹介したように細胞の再生に効果があります。
では、具体的にどのような症状に効果的なのかを見ていきましょう。

幹細胞培養上清液による細胞の再生効果が期待できるのは、肌のくすみやシミ、そばかす、乾燥肌、赤ら顔、クマ、小ジワ、フェイスラインのたるみ、ニキビ、ニキビ跡の色素沈着、薄毛、EDなどです。
コラーゲンやヒアルロン酸の生成を促すサイトカインが含まれている幹細胞培養上清液には、そのような効果があります。

アンチエイジング効果が期待できる治療といわれると、ヒアルロン酸などのサプリメントや点滴、注射をイメージする人が多いのではないでしょうか。
しかし、それ以上に効果的だとされているものがあります。

それは「臍帯幹細胞培養上清液療法」です。

培養液

臍帯幹細胞培養上清液療法は、赤ちゃんの臍帯から摂取された幹細胞を培養したもので、他の幹細胞培養上清液療法と同じようにサイトカインを体内に注入します。
臍帯血にある幹細胞の再生能力の高さが注目され、美容やアンチエイジングの分野で使われているのです。

なぜ幹細胞が注目されているのか?

私たちの体は、およそ37兆個もの細胞で構成されています。
特に、皮膚や血液の細胞の寿命はとても短く、常に新しい細胞と入れ替わる必要がある。

そのため、新しい細胞に入れ替わる時に、これまでの細胞が担っていた役割を受け継ぐ細胞を補充しなければなりません。
その時に幹細胞の働きが重要になります。

幹細胞には、自分と同じ形で同じ能力をもつ細胞をつくる自己複製能、必要な別の細胞に変化できる多分化能という能力があります。
つまり、幹細胞自体には失われてしまった細胞を生み出すだけではなく、補うという役割があるのです。

その役割を確実なものにするために、幹細胞は血管やリンパ管を通って全身を移動します。
そして、ダメージを受けてしまった細胞が助けを求めるとその場所に行き、そこで分裂をくり返して組織や臓器を修復。
これは「ホーミング効果」というもので、幹細胞がもっている性質の一つです。
ホーミング効果によって幹細胞は、新しい組織や血管になるための細胞に変化します。
骨や脂肪、神経などにも変化できるため、あらゆる細胞の修復や再生に役立つのです。

そんな幹細胞の働きを治療に導入するためにつくられたのが、幹細胞培養上清液です。
幹細胞培養上清液を用いる再生医療は、幹細胞の能力や性質を効果的に利用したものだといえます。

幹細胞培養上清液に含まれるサイトカインの中で美容効果が期待できるのはどれか?

幹細胞培養上清液には、800種類以上ものサイトカインが含まれており、
その中でも特に美容への効果があるといわれているサイトカインをご紹介します。

ターンオーバーを促し健康的な肌へと変化させるEGF

EGFは、元々人間の体に存在しているたんぱく質の一つで、新しい細胞を生み出す力や傷ついてしまった細胞を修復する力があります。
加齢とともにEGFが減少してしまうと、肌の老化を加速させることになってしまいます。
もしも日焼けがなかなか戻らない、シミやしわが増えてきたと感じるのであれば、EGFが減少して肌の代謝が悪くなっている可能性が高いということです。
また、EGFの効果でターンオーバーが正常になれば、肌のバリア機能が整うという効果以外にも嬉しい変化が期待できます。
それは、肌の透明感が高まり、ハリやツヤのある肌に変化するというものです。

ヒアルロンサンを増やすことでハリを取り戻してくれるIGF

IGFは、壊れた細胞の再生を促す効果があるだけではなく、新しい皮膚細胞を生み出すために必要なコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸を増やしてくれる効果があります。
EGF同様、加齢によってその量は減少してしまい、肌のハリがなくなるといった悩みにつながります。
IGFには発毛を促進してくれる効果もあるため、IGFの減少に伴って髪の毛に関する悩みも増えていくと考えられています。
つまり、年齢を重ねるごとに髪の毛に関する悩みが増えるのは、IGFが減少していることが原因だと考えられるでしょう。

シワ改善や美白に効果的なFGF

FGFは、真皮層の綿維芽細胞の分化や増殖といった働きを促進します。
肌の弾力を弾力を維持するコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸をつくり出すのが綿維芽細胞です。
FGFも前述したサイトカインと同じように華麗で減少してしまいます。
FGFが減少してしまうと、肌の弾力がなくなってしまいます。
つまり、たるみや深いシワができやすくなってしまうのです。

サイトカインの中でも、特に美容効果が期待できるものはこの3つです。
これらの成分を配合したスキンケア商品も販売されています。
しかし、サイトカインが配合されているスキンケア商品は高額なものが多いため、目的にあった効果が期待できるものを選ぶことをおすすめします。

がんの治療の選択肢にもなっている幹細胞培養上清液

幹細胞培養上清液は、近年がんの治療の選択肢としても考えられるようになってきました。
幹細胞培養上清液を用いた治療は、先制的自己修復医療と呼ばれており、どのような病態なのかを予測し、発症や進行を防ぐというものです。
これをを受けることにより、健康寿命を伸ばす効果も期待できます。
発症や進行を防ぐために細胞に働きかけ、組織を修復して機能の回復を促すという最先端の治療だといえるでしょう。
幹細胞培養上清液を用いた治療は、がんをはじめとした様々な疾患に活用できると考えられています。

今後、さらに注目を浴びるのではないかと考えられている幹細胞培養上清液による治療。
再生医療にも役立つものです。
幹細胞培養上清液に含まれているサイトカインは、細胞を再生してくれる効果が期待できます。
そのため、アンチエイジングの効果も期待できるとして、美容の分野での注目も高い。
またそれだけではなく、幹細胞培養上清液を用いた再生医療は、がんなどの疾患にも効果的だといわれているため、医療の現場でも活用されています。
このことから、幹細胞培養上清液は今後も活用の幅を広げていく可能性が期待できるのです。
幹細胞培養上清液を活用してみたいと考えている方は、再生医療に特化した専門のクリニックを受診してみると良いでしょう。


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