細胞から分泌されるたんぱく質であり、体内に約800種類が存在するといわれるサイトカイン(Cytokine)。
細胞同士のコミュニケーションにおける、いわば情報伝達のサポート役として、細胞の増殖・分化、細胞死、機能の修復、免疫の調節、炎症反応の抑制など、様々な働きを担っています。

サイトカイン

サイトカインには多くの種類があり、特に免疫・炎症反応などの生体防御に関連したものが多い。他にも細胞の増殖や分化、細胞死の役割を担っているものもあります。
代表的なものとしては、インターフェロン(IFN)やインターロイキン(IL)、ケモカイン(CCLなど)、コロニー刺激因子(顆粒球コロニー刺激因子:G-CSF、エリスロポエチンなど)、腫瘍壊死因子(TNF)、増殖因子(EGF、FGF、TGF-βなど)が存在しています。

一般的にサイトカインには細胞を活性化する情報伝達物質が含まれています。

つまりサイトカインは老化や病気、ケガなどが原因で失われたり、衰えたりした細胞を回復させるためのシグナルを発信する存在であるといえるのです。
具体的には、ダメージを受けた体内の組織や臓器に存在する細胞の機能回復がサイトカインによって促され、その細胞は活性化。体全体が再生化へと導かれていきます。

美容において力を発揮するサイトカイン

サイトカイン

EGF

肌の上皮(皮膚・粘膜など)の成長・再生・修復を行い、新しい細胞の生産を促進する。ターンオーバーを促し、色素沈着やくすみを予防。

IGF

細胞DNA合成を調整。壊れた細胞の再生を助ける作用により、新しい皮膚の細胞を生み出してコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸を増やし、ハリを回復。

VEGF

血管新生(既存の血管から分枝伸長して血管を形成すること)に重要な役割を果たす。

KGF

ターンオーバーを整え、皮膚の水分保持やバリア機能を維持するための重要な役割を担う。

TGF-β1・β3

コラーゲンのような結合組織の合成・増殖を促進。

FGF

しわ改善や美白、創傷治癒に効果を発揮する。

これらのサイトカインを使用して体内、主に細胞、で発生した損傷を回復させる治療があります。
それが「サイトカイン療法」です。

培養液

サイトカイン療法とは、サイトカインなどを豊富に含む幹細胞培養上清液を使用する治療法。
約800種類以上のサイトカインが含まれている幹細胞培養上清液は、幹細胞を培養することでサイトカインだけでなく、コラーゲン、ヒアルロン酸、老化の原因となる活性酸素を除去するSOD(抗酸化酵素)などの酵素、ビタミンなどが分泌された上澄み溶液のことです。
老化や病気、ケガなどが原因で衰えた細胞を再生させて、美容や健康に対して様々な効果をもたらしてくれます。まさに、体を細胞レベルから若返らせるエイジングケアです。

治療方法とは?

サイトカイン療法の治療法は主に2つあります。肌に直接注入する「注射」と全身の細胞に届ける「点滴」です。

注射

注射

老化などで衰えた幹細胞を、幹細胞培養上清液に含まれるサイトカインなどで活性化。
それによって、幹細胞の修復力が改善し、細胞の再生を促進させます。

特に年齢などの影響を受けやすい顔や首、頭皮などに対し、集中的にサイトカインを注入します。

点滴

約800種類以上のサイトカインが濃縮された幹細胞培養上清液を点滴によって体内に行き渡らせます。
それによって、体内で減少したサイトカインを補い、細胞の再生を活性化するのです。

点滴

点滴では肌だけではなく、体全体のエイジングケアが可能になります。

そもそも私たちの体は、約200種類、37兆個の細胞によって構成されています。
これらの細胞は、たとえば、心臓を動かしたり、血液をつくったり、新しい皮膚をつくったり、脳を活性化したりなど、様々な働きがあり、すべての組織や臓器に携わっているのです。

また、これらの細胞にはそれぞれ一つひとつ寿命があり、寿命によって失われた細胞は、代わりとなる新しい細胞をつくり出す。体内ではこのようなことが日々繰り返されています。
もちろん、病気やケガによって細胞が失われた場合にも同様です。

細胞を生み出す母。幹細胞とは

幹細胞

そんな数々の細胞をつくり出しているのが幹細胞。
あらゆる細胞を生み出すため、いわば母親のような存在です。

幹細胞は細胞分裂するときに、同じ能力をもった幹細胞になることができます。また、別の細胞になることも可能です。

幹細胞には2つの性質があるのです。

自己複製能

自分と同じ能力をもつ幹細胞をつくり出す働き

幹細胞が分裂して自分と同じ細胞をコピーする能力が「自己複製能」です。
各組織に存在する幹細胞を維持することを可能にします。

多分化能

失われた細胞や老化した細胞に代わる細胞へと変化する働き

もう1つが、自分とは別の様々な細胞へ分化(変化)する能力です。それを「多分化能」といいます。

たとえば、病気やケガで組織がダメージを受けて損傷しても、幹細胞によって新しい細胞が生み出されるため、その組織は再生できるのです。

再生

とはいえ、加齢や病気、ケガなどによって、様々な細胞を生み出す働きをもつ幹細胞は減少してしまいます。
その影響で細胞の補給や活性化するための機能が低下するという事態を招きます。

これが体全体の細胞の老化、つまり身体的な老化へとつながっていくのです。

幹細胞と老化の関係

私たちの体は老化すると細胞の再生が滞り、役割を十分に果たせません。
そのため、シミ・シワ・たるみの増加、視力・聴力の低下、筋力の減少、免疫力の低下などが体内で起こります。

特に、肌や血液に関連する細胞は寿命が短く、新しい細胞に入れ替わらない間は老化した細胞が体内に蓄積。
外見や内面から、美容や健康における老化という現象が発生してしまうのです。

老化

幹細胞自体は、もともと骨髄から発見されました。それが「間葉系幹細胞」ともいわれているものです。
神経や筋肉、脂肪などの組織、骨髄や肝臓などの臓器に存在する細胞で、様々な細胞に変化することができます。

しかし、骨髄由来の間葉系幹細胞は、その多くが血液をつくる細胞に変化するため、分化という働きに関しては課題があるとされていました。
その後、脂肪組織にも間葉系幹細胞が豊富に含まれていることがわかったのです。

脂肪由来の間葉系幹細胞は、血液をつくる細胞と免疫を担当する細胞への変化や、血管や心筋、骨、脂肪などの細胞へ変化することが可能。
つまり多分化能を備えています。また、骨髄由来と比べて、増殖力も高いことが報告されました。

さらには、臍帯と呼ばれる「へその緒」からも幹細胞の存在が見つかり、臍帯内の血液に含まれる幹細胞は、増殖や変化を繰り返して体内の組織などをつくり出します。
臍帯に存在する幹細胞には、とても高い再生能力があるとされているのです。

他にも、幹細胞には歯髄由来などがあります。
このように幹細胞は、体内の組織や臓器をつくり出すための細胞を生み、それらを再生・維持するという役割をもっています。

幹細胞の種類

骨髄由来

1960年代前半にカナダの放射線学者であるティルとマカロックらの研究により、幹細胞の概念が確立されました。
1960年代後半にはワシントン大学のトーマスらが白血病患者に骨髄移植の治療を開始。1970年代にその手法を確立したのです。

その後、骨髄の中に間葉系幹細胞が存在していることが確認されました。
しかし、骨髄に存在する幹細胞の数は少なく、骨髄から採取には全身麻酔が必要。また培養も難しい。

そして、ほとんどが造血細胞になってしまうという課題がありました。

脂肪由来

現在、美容や医療で最も使われている、人の皮下脂肪から採取した脂肪由来の幹細胞。
その幹細胞から分泌される「脂肪由来の幹細胞培養上清液」には、エイジングケアに効果的なサイトカインなどが数多く含まれています。

美肌

従来は骨髄などから幹細胞を採取していましたが、その骨髄由来よりも100~1000倍もの細胞を得られる脂肪由来の幹細胞に注目が集まりました。
脂肪由来は採取量が多いだけでなく、皮下脂肪から得られるため採取が容易で、安全性も高いとされています。

臍帯由来

臍帯とは、へその緒のこと。臍帯内の血液に含まれる幹細胞は、増殖や分化などを繰り返して生体組織や血液などを生成します。
つまり、臍帯に存在する幹細胞にはとても高い再生能力があるといえます。

臍帯

臍帯由来の幹細胞培養上清療法(サイトカイン療法)では、赤ちゃんの臍帯から採取した幹細胞を培養し、そこから分泌されたサイトカインなどを使用。
臍帯由来の幹細胞とプラセンタを比較すると、赤ちゃんの血液をつくっている臍帯由来の方が、より再生能力が高いとされているのです。

歯髄由来

歯髄由来とは歯髄の幹細胞から培養した上清液のこと。
歯髄は歯の中心部分から根っこまでの範囲にあり、そこの神経細胞に幹細胞が存在します。

歯髄

歯髄は歯の硬い層にガードされているため、遺伝子が傷つきにくい。
そのため、とても質の高い幹細胞を多く含んでいます。

幹細胞の採取・培養は、骨髄や脂肪などの幹細胞と比べてドナーへの負担やリスクが低く、安全性が高いのが特長です。
特に、乳歯には極めて高い増殖力があるため、乳歯の幹細胞培養上清液には数多くの成長因子が豊富に含まれています。

サイトカイン療法は細胞レベルでアプローチ

全身

サイトカイン療法は、私たちの体をトータルで若返らせることが可能な治療です。

たとえば、肌の場合。もちろん、肌の幹細胞も年齢とともに減少します。
肌の状態を維持する幹細胞が失われるということは、新しい肌をつくり出す機能が低下してシミやシワ、たるみ、乾燥などのトラブルに。

つまり、美肌へと導いてくれる細胞が生まれなくなるため、肌の老化は進行してしまうのです。

その解決策として注目されているのが「サイトカイン療法」。
幹細胞を培養することで分泌されるサイトカインを注射や点滴で体内に注入し、細胞を活性化して新しい肌へと再生する。
その場しのぎの解決ではなく、内側の細胞レベルからアプローチすることによって、若々しい肌を再び生み出す治療なのです。

サイトカインを豊富に含む幹細胞培養上清液が投与されることによって、体内の細胞は徐々に回復していきます。
それは、本来もっている自分の美を取り戻していくということ。

サイトカイン療法は、まさに究極のエイジングケアであり、私たちの美容と健康を高いレベルで維持してくる最先端の治療法といえるのです。


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